2019年、コンテスト過熱のその先に

あけましておめでとうございます。
いつの間にかこのブログも2歳9カ月です。





私がフィットネスを始めた頃よりも、今では男女のマッチョ人口はかなり増え、ノウハウも広まり、

以前よりも最短距離でマッチョ(一般目線からの)になることができる時代になったと思います。






今日は、フィットネスという中では少し異色の、コンテストという分野についてです。


近年コンテスト主催団体やカテゴリ、大会数、参加者数は増えていますが、

これからこのコンテスト市場はどうなるのでしょうか?



もうほころび始めていて今がピークだと言う方もいますし、

まだまだこれから盛り上がって行くと言う方もいます。


IFBB Pro leagueのプロクオリファイが日本で多く開かれるということで、IFBB proを目指す競技者や、pro league系の団体は盛り上がっているように見えます。

*NPCJ ワールドレジェンドクラシック


去年のJapan proを観に行きましたが、やっぱりプロと言われる人達だけあって体もプレゼンテーションのレベルも全然違かったです!ステージの雰囲気や演出含め、全てがかっこよかったです。



フィットネス市場が大きいアメリカを主マーケットとしながらも、IFBBのマーケットだったその他の国へも積極的に討って出てきているような印象です。


IFBB側は、2017年のIFBB pro leagueとの団体分裂以降、エリートプロリーグを作ったり、IOC公認へ向かってたりと、去年は独自運営が始まった元年でした。

2年目の今年、どんな団体になっていくのか楽しみですね。

*Arnold Classic Europeは、IFBB側の大会ということになっています


IFBBの中で個人的に関心をよせているのが、中国のマーケット。

大会にかける資金力が本場欧州より遥かに大きく、次の大きなフィットネスマーケットや新たな資金源の可能性が感じられます。

IFBB傘下のJBBFも、ボディビル(フィットネスではないですが)で若手選手が活躍していたり、


↑チャンピオン鈴木選手と2位横川選手
目の前で本当にすごいものを見せていただきました・・・

その他にも、韓国系の大会や、日本発のベストボディやサマスタのような団体があったり。


まさに今年もさらに、フィットネス戦国時代。

その辺のマッチョがみな大会優勝者だらけになるんでしょうね!!笑






そこで思うのが、この熱は今後どうなっていくのでしょうか??

コンテスタントの世界を見ていて、疑問が2つあります。




1)クスリ、ルール違反の整形は、本当に個人の自由としていていいのか?


コンテスト熱が過熱する一方、ステロイドなどの薬がネットで簡単に手に入る環境もあり、

抵抗感なく「使って当たり前」「使わないと勝てない」と、

もはや使わない理由を探して納得させることの方が難しくなっている世界があるようです。

国内で禁止されていてドーピングチェックがある団体はJBBFのみで、その他の団体はそういうものはありません。


女性については、脂肪吸引、胸以外へのシリコンやヒアルロン注射など、

本来ならば努力で手に入れるべきものを、人工的な手段に訴える人が増えたとも感じます*。

これを、モラルの問題とか、他の選手に失礼と感じるかどうかは、まさに個人の価値観の違いというところなんでしょう。

*IFBB規定では胸以外へのインプラントは禁止、と明記されているので、胸以外はルール違反ということになります。




若い世代は上の世代よりも個人主義の傾向が強いので、なおさら「個人の自由」に、個人的な意見を表明することが難しくなってきています。




何を言っても「個人の自由」で、議論する機会すらなくなり、
筋肉への渇望に身も心も際限なくゆだね、まさしく「果てなき渇望」*現象です。

(* 結構昔に読んだ本ですが、ボディビルダーの人生観や生き方が色々な立場から語られていて、面白かったです)




コンテストへ向かう思いやモチベーションも、人様々だからこそ、ドーピングについても公に肯定・否定しづらい空気感があると思いますが、


それらの考え方の違いは主に、スポーツなのか?ショーなのか?という定義が違うこと、価値観なのか、倫理観・道徳観に基づいて話をしているのかという前提が違うこと来ているのではないかと私は思っています。


スポーツだと思っている人が、使う使わないの価値観の違いで公平性が保たれないのはスポーツとしてあるべき姿ではないと、スポーツ倫理の話をしていたり

ショーだと思っている人が、ショーは客を楽しませるためにあらゆる手段をつくすべきと、ショーがあるべき姿という点で話をしていたり


組み合わせで様々なケースがあると思います。


そもそもその定義と前提が個人で異なる(まぁここも含めての価値観なんでしょうけど・・・・)のに、答えを合わせようというのは難しい話だと思います。



何が言いたいかというと、この過熱する波にのまれて、自分の意見をしっかり持たずして、流されるようにして踏み出してしまうことは避けた方がいいということです。




それはもう1つの心配事2にも関連しています。

「僕、そろそろ使おうと思っているんですけどどう思いますか?」

なんて人に聞くことがあったら、それっておかしな話で、

そんなこと他人に聞く時点で自分のことよくわかってないんだから、

もっと自分でよく考えましょうよ、って思います。





あとは、自分に害がない限り好きにして、というのが基本的なスタンスの人も多いと思います。

ですが、この業界の中だけで物事を考えていると、

大事な視点が抜け落ちてしまっていることにも気が付きます。

そういう手段を使う人があふれることで、この業界が国内の他業界、他競技界からより(今でも十分異色なのに)倦厭されてしまう原因になってしまうのではないかと懸念します。



米国で当たり前のことが、国内でも今後本当に当たり前になるのでしょうか?

他の業界や競技者に対して、自分はXX競技者ですと自信をもって名乗ることができるのでしょうか?

他業界は、新しくスポンサリングや事業機会を検討してくれるのでしょうか?




こんなエピソードもあります。

アメリカのフィットネス好きの友人に、

「そんなにいい身体してるのに、どうして大会に出たりしないの?」

と聞いた時に返ってきたのが、

「成績が出たらクスリ使ってるんでしょって言われるし、成績が出なかったら全然ダメだねってなるし、どっちに転んでもいいことないから、出たくない」


日本もそういう世界になってしまったら、

外からそのように見られる業界になってしまったら、

私はこのコミュニティの中にいたいと思うでしょうか?

正直自信がありません。



こうなると、クスリ・整形は、個人の価値観の問題だから好きにすればいい、というのは、本当にそうなのか疑問に思えてきます。




2)みんな、頑張りすぎじゃありませんか?

本当かどうかわかりませんが、SNSの投稿を見ていると、

・有酸素XX分、1日X回

・毎朝5時起床

・塩味なしのささみを1カ月食べます

・トレーニングは基本的に休みなし!

そんな頑張り屋さんが多くて、本当に驚きます。




もちろん、突き詰めて見えてくるものもあると思うので、否定はしません。

ですが、そこが苦しくなってコンテストが嫌いになってしまいそうなら、立ち止まって大丈夫です。

というか、もっと楽して大丈夫です。



100%頑張ることが目的になってしまっていたり、

ストイックさを追い求めることが目的になっていませんか?




成果を出すための努力は、いろんなベクトルですることができると思うので、

人より活動しないことを卑下する必要は全くないと思います。



私は、減量で息詰まったら、寝る前に有酸素30分頑張る前に、30分早く寝ます。





・時間もお金もすごく使ったけど、結局何が残ったのかわからない。

・過熱する周りを見ていて、急にむなしくなってきた。

・上記のような手段に手を出してしまったけど、振り返ってみて後悔している。

・コンテストの減量を極限まで頑張りすぎて、身も心も不調になってしまい、何のためにやっていたのかわからなくなった。

・怪我をしてアラインメントが崩れ、もともとやっていたスポーツに戻れなくなった。



時間とお金を投資して、何が残ったかわからないって、投資詐欺にあったような響きですよね。


努力して、気づいたら何も残らなかった、なんて感じてしまうのはあまりにもったいないと思います。




私は、フィットネスは素晴らしい手段だと思うし、個人的にもすごく感謝しています。


ただ、どんどん過熱する中で、
無我夢中で走り続けてきて、やる意義や目的を見失い、
燃え尽きて、コンテストの本来の良さまで見失ってしまうような人を見てきて、
とても悲しく思います。




とは言え、「頑張る」ことの価値って、なかなか否定できないですよね。

そして続けていると、毎年課題が見えて、来年こそは、と思ってしまうからこそ、

辞め時というものもわからなくなってくるんですよね。(←これ私です。笑)




こればっかりは、やりながら選手自身が自問自答していくしかないんですよね。





負の側面ばかりハイライトしてしまいましたが、
ポジティブな側面も感じてますよ。

これはまた次回以降に、、、




さて、これからどうなっていくんでしょう?
皆さんはどう思われますか?






コメント

  1. あきさん、こんにちは。いつも匿名で失礼します。

    私はよくアメリカのフィットネスコーチ(本人たちもプロ選手であることが多い)の意見を参考にします。「大会は、自分の限界を見たい人が限界まで追い込む競技。Pagent ではない。人気があるから(流行り)とか、あのような体になりたいからと言って挑むものではない。」という言葉があって、個人的にはすごく自分の考えにマッチしました。

    あきさんの言う「がんばりすぎ」というのは、学んで、失敗/成功して、そこから判断できるんだろうと思います。私は長年フィットネスに携わっていますが、今の人たちは「で、どの大会に出た(出る)んですか?」というのが自然に会話に出てくることが多いです。それだけ、鍛える->大会(出場か勝ちに行くのかは不明)が当然(流行り)になってきていて、リスクを含めた学びが浅いまま突入するから、ひたすらがんばるのかもしれないですね。

    今年は9月にカナダでIFBB Natural という大会があります (w/drug testing)。いろんな意味でこれは面白そうで、楽しみにしています。

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    1. コメントありがとうございます。
      >>あきさんの言う「がんばりすぎ」というのは、学んで、失敗/成功して、そこから判断できるんだろうと思います。

      おっしゃる通りだと思います。振り返ってみて、あの時は頑張りすぎだったなと思うのは結果論であって、その基準を標準として取り組んでも後々の学びにはつながらないのかもしれません。
      競技性があるからこそ、限界まで自分を追い込む必要性と責任は全て自分次第ということなんでしょう。それで背負いきれなかった部分が結果として自分を傷つける手段にもなるかどうかは、自分のとらえ方1つなんだと思います。競技以外にも共通する気がしますね。

      またコメントください!

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